これまで本研究で開発した Z39.50 クライアントの構成について述べてきたが、 つぎに Z39.50 クライアントの1つである willowと、 WWW上のクライアントの1つであるアメリカ議会図書館の Z39.50 のgatewayクライアント と本研究で開発したクライアントを比較検討する。 本システムでは、誰にでもマニュアルなしですぐに使うことができることを インタフェースを設計する時の方針とした。 そのため細かな機能は設定せず、最低限必要な機能だけを実装したり、 次にする動作をわかりやすくするために、次にクリックするボタンや、 次に入力する入力フォームの色を変えるなどした。 誰にでもマニュアルなしで、使うことができるインタフェースが あるのは、アメリカ議会図書館の Z39.50 gateway である(図21)(図22) (図23)。
図 21: アメリカ議会図書館 Z39.50 getway:接続
図 22: アメリカ議会図書館 Z39.50 getway:検索
図 23: アメリカ議会図書館 Z39.50 getway:返戻
WWW上のシステムの場合、ユーザーは良く知った親しみやすい インタフェースなので、次に行なう動作を指定しやすい。 また、エラーが出た時も、WWWブラウザに慣れたものにとってわかりやすい。 また、アメリカ議会図書館の Z39.50 gateway は、簡単な機能しか持っていないので、 動作が単純でわかりやすい。
それとは対象的に、willowは大変多機能である(図24)(図25) (図26)。
そのため、ボタンやメニューがたくさんあり、次に何をすれば良いのか が大変わかりいにくい。しかし、機能がたくさんあるので、 設定を変えたり、検索結果を保存したりなど、様々に応用できる。 アメリカ議会図書館のgatewayや本システムは、機能が少なく、始めてのユーザには良いかも知れないが もっと複雑な検索をしたいユーザにとっては物足りないものになっている。
現在、Z39.50 Client Survey [10]に登録されているZ39.50クライアントは 13あるが日本語が使えるものは調査した限りでは存在しない。 その他WWWブラウザをクライアントに見立てて、WWW上にZ39.50とのゲイトウエイという形で作られているサーバもある。 本システムを使うことにより、Z39.50を用いた検索サーバにアクセスすることが 可能となったが、 Z39.50は多言語化についての規定はされておらず、話し合われている段階である。 Z39.50を用いた日本語化検索システムを開発する時に問題となるのは、文字コード、ワード、フレーズ、返戻のレコード形式である。 文字コードは日本に特有なものだけでも何種類もある。よって検索要求を出す時、検索結果を受けとった時など、 文字コードが異なった場合は文字化けを起こして読めない問題がある。 日本語はスペースで区切られた言語ではないため、 語に区切ることができない言語である。 しかし、Z39.50はアメリカで規定されたという経緯があるため、 検索属性を表すAttribute Setには、word や phrase といった指定をするため、 このようなスペースで語が区切られる言語特有のものと どのように、折り合いをつけていくか、という問題がある。 Z39.50には、返戻レコードの形式として、USMARC,UNIMARCなどが 定められているが、JAPAN/MARCは 定められていない。よって、現在は SUTRS(プレインテキスト)で 送るしかない状態である。 世界中のZ39.50検索システムを利用するためには、この多言語問題の解決が待たれる。